◆音楽の効果について
元気になりたいときに聴く音楽や、落ち着きたいときに聴く音楽。みなさんは自分用の「音楽の薬」を持っていますか?
音楽を聴くだけで、心臓のドキドキが高まったり、逆に鎮まったりするのは、音楽が私たちに何らかの影響を与えている
からです。
とある実験によると、73人の被験者に好きな音楽を、好きな音質で、好きなボリュームで聴かせたところ、収縮期血圧
(最高血圧)が高い人たちのグループ(収縮期血圧が140mmHg以上の人)は、音楽聴取後、収縮期血圧が下降し、収縮期
血圧が低いグループの人たち(収縮期血圧が120mmHg以下の人)は収縮期血圧が上昇するという結果が得られたそうです。
これは、『生体を最も望ましい状況に導く効果(ホメオスタシス効果)』によるものとされており、音楽を聴くことで
この効果が得られると結論付けられています。そして、この効果の理由は、呼吸にあるとされており、被験者の好みの
音楽で実験した場合に限り、音楽のリズムと被験者の呼吸が同調していたということです。
私たちは心臓の動きをコントロールすることはできませんが、呼吸はコントロールできます。不安や緊張などで呼吸が
早くなったときなど、ゆったり呼吸をしようとしますが、これは自律神経系に働きかけて心臓を落ち着かせようという
行為です。人は、無意識のうちに自らの生体が必要としている呼吸に導くような曲を選択しているようです。
◆音楽の鎮痛効果
次に、音楽の持つ鎮痛効果について見ていきましょう。イギリスで発表された研究論文によると音楽の鎮痛効果が証明
されたそうです。手術の前後や手術中に音楽を聴くことで、標準的な手術後に感じる痛みが軽減したということで、
音楽の種類や、本人が選曲するかどうかに関連性はなく、手術前、手術中、手術後のどのタイミングで音楽を聴いても
効果があるものの、特に、手術前に音楽を聴いたときに最も痛みが軽減したということです。
また、音楽の鎮痛効果は、部分麻酔で意識がある場合はより効果が大きかったものの、全身麻酔をかけられた場合でも
手術後の痛みが軽減することが分かったとのことです。
日本では、1980年代から「音楽療法」の研究が精力的に行われ、2001年からは日本音楽療法学会認定の「音楽療法士」
が施設や病院などで活躍しています。厚生労働省も、音楽療法を「相補・代替療法」のひとつとして位置付けています。
◆最後に
音楽は、心身をあるべき状態に整えてくれたり、痛みを軽減してくれたりします。このことは、病気の予防や、副作用
のある鎮痛剤への依存からの脱却につながり、個人レベルでも国家レベルでも大きなプラスとなる可能性があります。
音楽の「薬」としての効果は侮れないものがあるようです。
以 上
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