2022年度
(令和4年)
 

5月号
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(令和4)年
健康管理ニュース
 5月(95)号 
植物繊維の必要性と健康

先月は「野菜は身体に良いから食べましょう!」と題して情報をお届けしましたが、今月もそれに関連して「食物繊維の必要性と
 健康」に関するお話です。食物繊維は小腸で消化・吸収されずに、大腸まで達する食品成分です。便秘の予防をはじめとする整腸
 効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。
 現在ではほとんどの日本人に不足している食品成分ですので、積極的に摂取することが勧められています。

大腸まで達して、おなかの調子を整える食品

食物繊維というと「繊維」という言葉から、細い糸のような、スジ状のものをイメージされがちです。しかし「ネバネバ」するもの
 から、水に溶けて「サラサラ」した状態のものまで、多くの種類があります。特定保健用食品で「おなかの調子を整える食品」とし
 て認められている成分の多くが食物繊維です。

食物繊維は「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。言い換えると、たんぱく質・脂質・
 炭水化物などは、消化管の中で消化酵素によって分解(消化)され、小腸から体の中に吸収されていきますが、食物繊維はこの消化
 酵素の作用を受けずに小腸を通過して、大腸まで達する成分です。水に溶けないセルロースやリグニン、水に溶けるペクチンやアル
 ギン酸などの成分があります。さらに消化されにくい性質を持ったデンプン(難消化性デキストリン)、オリゴ糖などの成分も含ま
 れます。はたらきとして、便の体積を増やす材料となるとともに、大腸内の環境を改善する腸内細菌に利用され、これらの菌を増や
 すことが明らかとなっています。

日本人の摂取量は減少傾向にある

日本人の平均食物繊維摂取量は、1950年頃には一人あたり一日20gを超えていましたが、穀類・いも類・豆類の摂取量の減少に伴い、
 減少傾向にあります。最近の報告によれば、平均摂取量は一日あたり14g前後と推定されています。

厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、一日あたりの「目標量」(生活習慣病の発症予防を目的として、
 現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量)は、1864歳で男性21g以上、女性18g以上となっています。食物繊維は、体に絶対的に
 必要な栄養素ではありませんが、体の健康に深く関与する食品成分です。
  平均摂取量と目標量の差を見て明らかなように、食物繊維の積極的な摂取が必要です。

体内でコレステロールから作られる胆汁酸の体外(便中)への排泄を促進し、血中コレステロール値を下げます。また食後の糖の吸収
 をゆるやかにし、血糖値の急激な上昇を抑える作用があるとされています。更に便の量を増加させるとともに、腸内の腸内細菌のうち、
 ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の割合を増やし、腸内環境を良好に整える作用も知られています。

体のサインから見た食物繊維の必要量は「一日に一回、規則的に排便がある」ことがひとつの目安になります。この状態である人の
 排便量は、一日に約150g(見た目ではMサイズの鶏卵で約3個分)であることがわかっています。まずはこの便量を作り出すための食物
 繊維を食事からとれているかが重要です。

最後に

 食物繊維は、魚介類や肉類などの動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品に多く含まれます。食物繊維を手軽にとりたい方へお勧め
 するのは、主食の穀類からとる方法です。一日のうち1食の主食を玄米ごはん、麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなどに置き換えると、
 効率的に食物繊維が摂取できます。また、豆類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類などにも多く含まれています。食品で見ると、そば、
 ライ麦パン、しらたき、さつまいも、切り干し大根、かぼちゃ、ごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、糸引き納豆、いんげん豆、
 あずき、おから、しいたけ、ひじきなどは、1食あたり摂取する量の中に食物繊維が23gも含まれています。効率的に食物繊維をとるには、
 これらの食材を毎日の食事の中に上手に取り入れると良いでしょう。

                                                                                                                                                                            以  上

 
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