◆食中毒の原因
食中毒を引き起こす主な原因は、「細菌」と「ウイルス」です。細菌もウイルスも目には見えない小さなものです。細菌は温度や湿度などの条件が
そろうと食物の中で増殖し、その食物を食べることにより食中毒を引き起こします。一方、ウイルスは自ら増殖しませんが、手や食べ物などを通じて
体内に入ると、腸管内で増殖し、食中毒を引き起こします。
細菌が原因となる食中毒は夏場(6月~8月)に多く発生しています。その原因となる細菌の代表的なものは、腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)
やカンピロバクター、サルモネラ菌などです。食中毒を引き起こす細菌の多くは、室温(約20℃)で活発に増殖し始め、人間や動物の体温ぐらいの温度
で増殖のスピードが最も速くなります。また、細菌の多くは湿気を好むため、気温が高くなり始めて湿度も高くなる梅雨時に、食中毒が増え始めます。
例えば、O-157やO-111などの場合は、7~8℃ぐらいから増殖し始め、35~40℃で最も増殖が活発になります。
一方、代表的なウイルスであるノロウイルスは、調理者から食品を介して感染する場合が多く、ほかに二枚貝に潜んでいることもあります。特に冬は、ノロウイルスによる食中毒が毎年多く発生しています。
このほか、毒キノコやフグなどの「自然毒」、殺菌剤などの「化学物質」なども、食中毒の原因
となっています。このようにさまざまな原因物質によって、食中毒は1年中発生しています。
◆食中毒の発生状況
厚生労働省の「令和4年食中毒発生状況」によると、【
食中毒発生数962件、患者数6,856名、死亡者数5名 】という結果でした。年齢階級別にみると、
20~29歳が最も多く、次に多いのは70歳以上であり、原因食品としては、魚介類が39.9%とダントツに多い状況となっています。
◆食中毒の予防法
予防の三原則は、菌を「付けない、増やさない、やっつける」です。具体的には以下の通りです。
・調理前、調理中、食事前などこまめに手洗い(肉、魚、卵を取り扱う前後にも手洗いを)
・調理器具、食器、タオルなど清潔な物を使用(使用後すぐに洗剤と流水でよく洗い、漂白剤や熱湯などで消毒)
・冷凍食品の室温解凍はNG
・調理前後の食品を長時間室温に放置しない(調理の中断時は冷蔵庫へ、
後で食べる人の分は密閉して冷蔵庫へ)
・冷蔵(冷凍)庫の詰めすぎ注意、七割が目安
・残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分け保存
・加熱は十分に行う(目安は中心部の温度が、75℃で1分間以上加熱)
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同じ物を食べても、大人は大丈夫なのに、子どもや高齢者だけが、食中毒を起こすこともあります。子どもや高齢者の場合、少量の菌でも重症化する
傾向もあるため、特に注意が必要です。
以 上
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